●4月25日 宮城県石巻市視察

(1)「企業版ふるさと納税」について

 石巻市においては、交流人口拡大プロジェクトとして先の大震災で被災した「石巻文化センター」と「石巻市民会館」を(仮称)石巻市複合文化施設として整備する事業、雇用創出拡大プロジェクトとして「奨学金返還支援事業」「創業支援補助事業」の3つの事業が企業版ふるさと納税認定事業となっている。中でも雇用創出拡大を目指す「奨学金返還支援事業」に対して企業の関心が高いとのことである。「奨学金返還支援事業」では、地域包括ケアの推進に必要な人材の確保及び移住・定住促進することを狙っている。石巻市内に居住して、看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士等の資格を有し、市内事業所に就職した者が返還する奨学金の一部(年間上限20万円を3年間)を助成する制度である。初年度となる平成28年度の実績では19名すべてが女性の利用となっている。当初の目的に向かって順調な展開となっており将来的な人口減少対策としての効果も期待されるところである。


(2)石巻市スマートコミュニティ推進事業について

 スマートコミュニティ推進事業は、石巻市と東北電力、東芝が連携して事業に当たっている。平常時は低炭素なエコタウン、災害時にも灯りと情報が途切れない安全・安心なまちを目指している。太陽光発電設備、蓄電池、系統安定化制御装置などのハードと合わせて市役所や学校などに見える化モニターを設置することによるみんなでエネルギーの使い方を考えるまちづくりを目指している。大震災の教訓を生かして、夜間でも避難者を安全に避難場所へ誘導するための途切れのない街路灯や避難者への情報提供のための情報端末充電設備も整備されている。省エネと防災をリンクさせている点は非常に参考になる事例と言える。


(3)石巻市中心市街地活性化事業について

 石巻市では、まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本的考え方として「東日本大震災からの復興まちづくりの推進と、被災者・高齢者・若者を支える地域づくりの推進」を掲げている。特に、復旧・復興事業等完了後の事業従事者の転出などの人口減少を見据えて自らを「課題先進都市」と位置付けている。今回の視察では、石巻市の中心市街地における復興に取り組む「株式会社街づくりまんぼう」を訪ねた。株式会社街づくりまんぼうは、宮城県出身の漫画家石ノ森章太郎氏の作品や資料を展示する石ノ森萬画館を運営し、マンガを使ったまちづくりに取り組むTMO(Town Management Organization)である。震災後、石巻市中心市街地における小売業では、年間販売額が、被災前の3割程度までの大幅な減額となったことなどから「住まう人を増やす」「訪れる人を増やす」「チャレンジする人を増やす」ため「コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会」を組織し事務局を担っている。行政や地権者、識者のみでなく商店街関係者やボランティアなどを結んで目指す「まち像」を共有しながらビジョンを作成する上で重要な役割を果たしている。本市においては、東日本の対流拠点を目指す中で、行政や地権者だけでなく多くの市民、また様々な来訪者の思いを生かしていくことが求められるものと考える。街づくりまんぼうが石巻市で果たしてきた役割を検証し参考にすることは、本市のまちづくりにも資するこのと考えられる。