●4月26日 岩手県遠野市視察

(1)NPO法人遠野まごころネットについて

 遠野まごころネットは、平成23年3月の東日本大震災で被災した岩手県沿岸部の被災者を支援するために遠野市民を中心に結成された。遠野市は、盛岡・花巻・北上など東北自動車道や東北新幹線沿線の内陸地域と宮古・山田・大槌・釜石・大船渡・陸前高田などの沿岸地域との中間地点に位置している。内陸部から沿岸部までは片道およそ100㎞もあるため被災地に宿泊できない日帰りのボランティア活動を行うには、時間的にも体力的にも厳しいものとなる。そこで、沿岸部までおよそ片道40kmの遠野市の地理的条件を生かして内陸と沿岸を結ぶ人やモノや情報が集まるハブとしての役割を担ってきた。また、遠野市では震災の影響が比較的小さくライフラインや商店なども通常営業が続けられていたこともありボランティア生活を送る上でも不自由がなかった。遠野まごころネットでは、大震災の発災直後から秋ごろまでは、震災がれきの撤去補助などに一日当たり600人にも上るボランティアを支援し、バスで沿岸の被災地へ送るなどの活動がメインとなっていた。各被災地でのニーズを的確につかみ、ボランティアを送り出すことは大変重要な役割である。23年秋以降は、よりソフトな、被災者に寄り添っての定住支援、生業や雇用を創生し避難者の帰還や住民の流出を防ぐことを目指した事業、さらに、被災地に住む障害者の就労を支援する事業などに力を入れている。さいたま市は、首都圏の広域防災拠点と位置づけられていることから、国交省のテックフォースなど公の部隊だけでなく全国からのボランティアを支援し活動を支える拠点としての機能も果たせるよう準備しておく必要がある。その意味で「遠野まごころネット」の経験から学ぶことは多い。


(2)企業版ふるさと納税について

 遠野市の地域再生計画では、遠野型インバウンド「永遠の日本のふるさと遠野」世界発信プロジェクトと銘打ち、企業版ふるさと納税を活用して南部曲り家のかやぶき屋根再生事業と外国人観光客おもてなし事業に取り組んでいる。かやぶき屋根再生事業では、遠野職業訓練校と連携して伝統的なかやぶき技術の承継のため「いわて遠野かやぶき士」の養成も進めている。遠野市は、「遠野物語」に象徴される歴史と文化、豊かな自然を生かして年間180万人(平成26年度)の観光客が訪れているが、花巻空港や新幹線と沿岸部を結ぶ東北横断自動車道も平成30年には花巻―釜石間の全線開通が予定されていることから宿泊を伴わない通過型観光に拍車がかかることが予想されている。この点は、多くの来訪者を迎えながらも距離的に東京に大変近いことから、宿泊客が東京に流れる本市の状況と通じるものがある。また、平成31年には隣接する釜石市でのラグビーワールドカップ、平成32年の東京オリンピックにキャンプ地やホストタウンとして海外からの観光客の増加を目指していることも共通している。外国人観光客おもてなし事業においては、外国人向け土産品の開発など来訪者のおもてなしにとどまらず、より積極的な活動を展開している。台湾を始め、イタリア、アメリカ、ドイツなどへのプロモーション活動も進めている。本市において、企業版ふるさと納税を導入する場合には、独自の文化や強みを生かした取り組みにすべきであり遠野市の事例も様々な観点から参考にできるものと考える。