平成19年6月定例会

さいたま市における温暖化対策事業の進捗状況及び市民への広報啓発について

 先日開催されたドイツ、ハイリゲンダムサミットに続き、明年日本で開催される北海道、洞爺湖サミットにおいても主要な議題として環境、特に地球温暖化対策があげられております。21世紀を生きる私たちにとって、環境問題は最大とも言える課題となっております。  本市においても、京都議定書の第1約束期間に当たる昨年平成18年度から平成24年度を計画年度として、さいたま市地球温暖化対策地域推進計画が策定され、現状を踏まえた温室効果ガスの削減目標を掲げて、その推進が図られているところでございます。

 そこで、まず主な重点事業の進捗状況と成果についてお聞かせ願いたいと思います。

 次に、その重点事業の一つである排出量管理推進事業の意義を踏まえて、さらに温室効果ガスの削減効果、あるいは削減推進を図るために、市内で排出されている温室効果ガスの量とその増減の変化を毎年明確にして市の取り組みと、また成果を広く市民に知らせるべきではないでしょうか。また、市の事業として行う施策に対して、計画段階から温室効果ガスの排出量を予測し、排出量に見合う温室効果ガスの吸収源を確保するよう努めること。また、吸収源の確保が難しい場合には、ほかの事業で温室効果ガスの排出減少を図ることによって、市の事業全体として温室効果ガスの排出量の削減を進めること。さらに前述したような事業を推進するために、市として温室効果ガス削減に向けて具体的な行動計画を作成するようにすること。このような取り組みを進めるべきと考えております。

 これまで各部局におきまして展開されてきた環境対策、また温室効果ガス削減対策を市をあげてより強力に進めるべき時期が来ているものと考えますが、いかがでしょうか。見解をお聞かせください。

平成18年3月に策定いたしましたさいたま市地球温暖化対策地域推進計画において、本市の地域特性や必要性等を踏まえて、特に推進意義が高い取り組みとして建物の省エネルギー対策事業、排出量管理推進事業、環境学習、情報提供推進事業など七つの事業を重点事業として具体化しております。重点事業の推進につきましては、昨年11月に市民、事業者、市の各主体の交流と連携を図り、各主体が協働し、取り組みを進めるさいたま市地球環境温暖化対策地域協議会を設立するとともに、同協議会に設置したCO2排出量削減推進ワーキンググループ、環境学習情報提供推進ワーキンググループなどのワーキンググループによりまして検討し、平成19年3月に具体的な行動計画書であるさいたま市地球温暖化対策地域協議会アクションプランを作成いたしました。今年度は、作成したアクションプランに基づき、建物の省エネ対策の具体的な事例等を紹介する住まいの省エネ事業、二酸化炭素の削減に取り組む日を決め行動し、削減量を把握するエコライフDAYの実施、ホームページによる情報提供等の事業を予定しているところでございます。 また、地域の温室効果ガス排出量につきましては、算定の結果を市民へ広く公表してまいります。さらに、温暖化問題の厳しい状況の中で、市の新たな施策の実施に際して計画段階からの十分な検討を行うことは、大変重要と考えております。環境に配慮する仕組みづくりについては、その構築に努めるとともに、今後は議員の御提案を参考に環境行政を推進してまいりたいと考えております。さいたま市全体の排出削減のためには、市民一人ひとりのライフスタイルの変革が重要であると考えております。この夏、オールさいたま市による新しいライフスタイルの取り組みとして、さいたまシティライフを提案させていただきましたが、今後はさらに効果的な啓発事業を推進してまいります。

エコスクールの推進について

 小中学校の普通教室にエアコンの設置が進められ、学習環境の改善が進むことは、児童生徒の健康の維持管理にとどまらず、学力向上の面でも大きな効果が期待されるところです。自分自身の経験からしても、風のない蒸し暑い教室で行う特に午後の授業は、集中力の持続が大変難しいような状況がございました。そんなとき子どもたちからは、「先生、どうして教室にはクーラーがないの」などと何度も追及されたことがございました。こうした教育現場の実情を踏まえて、普通教室へのエアコンの設置に踏み切った市長の英断に敬意を表します。

 しかし、環境問題の観点から見ると、市内の全小中学校の普通教室で一斉にエアコンを作動させた場合には、環境負荷の増大は避けられません。未来を担う大切な子どもたちのためだといっても、逆に子どもたちの未来に環境破壊をもたらしてしまっては本末転倒となってしまいます。これからは、さらに普通教室へのコンピュータの導入やバリアフリー化を進めるためのエレベーターの設置など時代の要請する学校教育の実現のためのエネルギー使用量の大幅な増加は避けられません。環境への負荷もさらに大きくなることでしょう。見沼の緑と荒川の水に象徴される環境共生都市を掲げてまちづくりを進める我がさいたま市としては、今こそ先駆的な環境行政と環境教育を積極的に展開すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 その具体策として、我が党が提唱してきた学校のエコスクール化があります。太陽光や風力などの自然エネルギーの活用、屋上、壁面の緑化、校庭芝生化、雨水の利用、ビオトープの整備などハード面の整備に加えて、環境教育の充実、推進を図っていく事業であります。学校が次代を担う子どもたちの環境、エネルギー消費について関心を高める実物教材となること、学校が自然と共存したまちづくりの拠点となり、地域の人々にも環境やエネルギー消費について学ぶ場を提供することを目指した取り組みを進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。特に既存の学校におけるエコスクール化が急がれると考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。

 市内の小中学校の全普通教室に空調機を設置することに伴うCOの排出量は、東京電力や東京ガスなどのデータをもとに一定の使用条件で試算してみますと、今まで暖房に使用していた灯油が減となる量を相殺した結果、小中学校での平成18年度対比で約5.6%の増が見込まれます。今後は、空調機の適正かつ円滑な使用を行うための運用指針を作成するなど環境への負荷低減に向けたさまざまな工夫や取り組みを行い、CO2等の温室効果ガスの排出量を削減できるよう努めてまいります。また、既存の学校のエコスクール化についてですが、現状としましては校舎の増改築を行う際には太陽光発電パネルの設置や屋上緑化を導入しております。また、校舎の内部改修工事に合わせて、消費電力が少ないタイプの照明器具を採用し、センサー式で自動洗浄できる便器や自動水洗を導入するなど省エネルギー化や節水対策にも努めております。さらに、屋外環境整備の一環として、校庭の芝生化にも取り組んでいるところでございます。今後も引き続き環境に配慮した施設整備に努めてまいりたいと考えております。

放課後子どもプランの全校実施について

 放課後子どもプラン実施・運営に当たってどのような配慮がなされているのか、放課後児童クラブと放課後子ども教室に分けて、実施の現状について教えてください。また、放課後子どもプラン実施の背景は、広くさいたま市に共通することであり、放課後子ども教室の全校実施が強く望まれるところであります。放課後子ども教室の全校実施に向けての計画、見通しを教えてください。さらに、放課後子ども教室の設置場所は、主に学校の空き教室とされていますが、空き教室のない学校も多いと聞いております。また、公民館などで実施する場合など場所の確保に苦労が多いとも伺っております。場所が確保できないという理由で実施しないということにならないような手だてを準備しているのか教えてください。

 教育は人なりと言われるように、地域における人材の確保が一番の課題になってくると思われます。地域の皆さんに放課後子ども教室の実施の意義を知っていただき、御理解と御協力をいただかなくてはなりません。今年から続々と地域に帰ってこられる団塊の世代の方々の豊富な経験と活力を生かしていくことにも大きな期待を抱くものであります。 放課後子ども教室の全校実施に向けた地域人材の確保、育成をどのように進めていくのかお伺いいたします。

放課後子どもプランは、その実施に当たっては、放課後子ども教室の中で学習活動や地域住民との交流活動などさまざまな活動機会を提供し、放課後児童クラブの児童にも同様の機会を提供できるようにしていくこととされております。

 市といたしましては、こうしたことを踏まえ、放課後児童クラブにつきましては、保護者が就労などにより昼間家庭にいない小学生に適切な遊びの場や生活の場を提供し、就労と子育ての両立支援を目的とした事業として実施しております。そして、その運営に当たりましては、児童1人当たりの保育面積として畳1枚分の1.65平方メートルを確保できるよう、また安定的運営の確保や保育料の軽減が図れるよう財政的な支援を行い、民設民営での整備運営を促進しているところです。

 また、放課後子ども教室につきましては、子どもの安心安全な居場所を確保し、地域の方々の参画も得てスポーツ、レクリエーションや学習も含めた文化活動、その他さまざまな交流活動を実施することとしております。運営に当たりましては、できる限り小学校施設を活用するとともに、地域の方の中から安全管理者を配置するなど安全面に配慮しておりますほか、地域の方々に教室の運営に携わっていただくことで、地域の教育力が子どもたちに伝承されることを期待しているところでございます。

 次に、放課後子ども教室、全校実施の推進についてでございますが、本市では総合的な放課後対策について検討するために、本年1月に庁内関係課で構成する放課後子どもプラン部会を設置し、5月には学識経験者等の外部構成委員から成る放課後子どもプラン推進委員会を設置いたしました。放課後子どもプランの推進に当たりましては、放課後子ども教室推進事業の拡充が大きな課題であり、これを具現化していくためには、場の確保並びに運営に御協力くださる人材の確保が何よりも重要でございます。このため、今後この部会及び推進委員会において教育委員会や学校との連携、協力を図り、余裕教室や特別教室、体育館などの場の確保、利用方法を検討いたしますほか、教員OBや団塊世代の方々の活用も含めた地域の人材確保、育成及び放課後児童クラブとの連携方法などについても検討を行い、本市にふさわしい放課後子どもプランの事業計画を策定してまいります。

さいたま市における被害状況及び予防対策

 本市における都市型水害の発生と被害の状況及び今後も増加が予想される都市型水害の予防対策をどのように進めるのかお伺いいたします。

 本市は、都市の形態が大きく変貌し、それまで流域で保持していた保水、遊水機能が減少したことにより短時間に下水道、河川などへの雨水が集中することによって引き起こされる都市型水害と呼ばれる浸水被害が発生するようになりました。ここ10年間で1時間に50ミリ以上の雨量を観測した回数は9回を数え、中でも平成17年9月の集中豪雨では、南区を中心とした地域に甚大な浸水被害をもたらし、100件の床上浸水が発生いたしました。

 このような浸水被害が多発している現状を踏まえ、下水道事業では浸水被害の軽減を目的とした対策を実施しており、大宮駅東口周辺地区や南浦和駅西口周辺地区で大規模な雨水貯留施設事業を進めております。浸水対策事業には、多くの費用と期間を要することから、地域の被害状況等を踏まえた効果的な対策を進めるよう取り組んでまいります。

雨水流出抑制施設の整備促進

 私のところに雨水の排出対策の相談が何件か寄せられました。状況としては、ここ数年で起きるようになったこと、周辺でまとまった宅地開発や駐車場造成があったこと、地形的にはわずかな高低差があることなどが共通した特徴になっております。いわゆる大規模な洪水などと違い、被害は床下浸水手前の駐車場の冠水や物置への浸水程度と比較的軽微なものですが、ちょっとした集中豪雨のたびに繰り返されるため、耐えがたいものとなっております。本市では、さいたま市地域防災計画のもと流域総合治水計画を立て、その中に雨水流出抑制施設の整備を位置づけるとともに、さいたま市開発行為指導要綱により民間の開発等に関して適正な指導を実施し、雨水排水について流出を抑制する施設整備を誘導することになっています。しかし、現状を見る限り、その効果が十分とは言えないものと思われます。そこで、新規の開発の規制を強化するだけではなく、広く市民の皆さんの御協力をいただけるように、既存の宅地や駐車場、事業所などにも浸透ますの設置、雨水貯留、利用施設の設置促進を強力に推進する施策を取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。さいたま市水環境プランのモデル事業、緑と大地の潤いプロジェクトに発表された個人住宅の雨水貯留、浸透施設への補助制度等、総合的な支援策を今こそ推進すべきではないでしょうか。

 本市では、水環境への負荷を低減するとともに、安定した水量を確保し、生物の生息空間としての水辺環境の再生を図るため、市民、事業者、行政の役割を明確化し、水環境に対する施策の方向性を示すことを目的に、さいたま市水環境プランを平成18年3月に策定いたしました。その中のモデル事業の一つとして、雨水利用及び貯留・浸透推進事業があげられております。これは、公共施設における雨水利用及び貯留、浸透を率先実施し、また個人住宅などに雨水貯留タンクや雨水浸透ますの設置を推進することにより地下水の涵養、貯留水の有効利用、雨水の流出抑制などの効果が期待されるものであります。公共施設においては、学校の校庭を雨水貯留、浸透施設として利用したり、さいたま新都心雨水調整池では貯留した雨水をせせらぎ用水として再利用するなどの取り組みを行っております。さいたま市水環境プランの進行管理につきましては、庁内の関係各課で組織した水環境プラン推進庁内検討委員会で取り組み状況を確認、協議を行い、プランの推進に努めております。また、市民への普及啓発については、市報、ホームページ等を通じ広く行っており、さらに環境研修会などのさまざまな機会をとらえ、市民、事業者への普及啓発に努めてまいります。

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